日本版DBS(こども性暴力防止法)の義務対象事業者とは|2026年4月から進めたい準備を解説

義務対象事業者向け|日本版DBSで2026年4月から始める準備

この記事は、学校、保育所、認定こども園、児童福祉施設など、こども性暴力防止法における義務対象事業者の経営者・管理者向けの記事です。
こども性暴力防止法(日本版DBS)は、2026年12月25日施行です。
対象となる事業者のうち、義務対象事業者については、施行日直前ではなく、2026年4月から順次準備を進めることが前提になります。

こども性暴力防止法(日本版DBS)は、2026年12月25日に施行されます。
義務対象事業者については、施行日直前にまとめて動くのではなく、2026年4月から順次準備を進めることが前提になっています。

この制度は、単に性犯罪前科の確認手続だけを行えば足りるものではありません。
確認対象者の整理、就業規則や服務規律の見直し、相談体制の整備、研修、情報管理、そしてシステム利用の準備まで、事業者としての体制整備が必要です。こども家庭庁の施行ガイドラインや説明資料でも、犯罪事実確認に加えて、こどもへの性暴力を防ぐための日頃の措置、相談対応、情報管理などが体系的に示されています。

この記事では、義務対象事業者の経営者・管理者の方向けに、

  • 2026年4月にまずやること
  • 夏ごろまでに進めたいこと
  • 秋までに固めたいこと
  • 施行直前に確認すべきこと

を、実務目線で整理します。


まず結論

義務対象事業者が今すぐ着手したい4つのこと

2026年4月時点で、まず優先したいのは次の4点です。

  1. GビズIDを取得し、一括登録の準備を進める
  2. 誰が確認対象になるのか整理する
  3. 就業規則・服務規律・採用関係書類の見直しに着手する
  4. 相談体制・研修・情報管理体制の整備を始める

義務対象事業者は、法施行後すぐに手続を行える状態であることが想定されています。そこで、こども家庭庁は、義務対象事業者について、所轄庁を通じて事業者情報を取りまとめ、システムへの一括登録を行う予定としています。つまり、春からの準備は単なる事前学習ではなく、実際の制度運用に直結するものです。


義務対象事業者とは

こども家庭庁の説明資料では、学校設置者等が義務対象事業者とされ、学校教育法第1条の学校、専修学校高等課程、幼保連携型認定こども園、認可保育所、児童養護施設などが例示されています。

一方で、学習塾やスポーツクラブなどは、国の認定を受けて制度対象となる枠組みです。
そのため、まず大きくは、

  • 法令上、対応が義務となる事業者
  • 認定を受けて制度対象となる民間事業者

に分けて考えると整理しやすくなります。


義務対象事業者が迷いやすい実務上の論点

制度の概要を見ても、現場では次のような疑問が出やすいはずです。

  • うちでは誰が確認対象になるのか
  • 正社員だけでなく、パートや委託も対象になるのか
  • 就業規則や服務規律はどこまで見直すのか
  • 職員にどのように説明すればよいのか
  • 保護者や利用者にはどこまで案内すべきか
  • 相談や通報があったとき、最初に誰が動くのか
  • 前科情報などの機微情報をどう管理するのか

この制度で重要なのは、確認手続の準備だけではありません。
事業者として、安全確保措置をどう組み立てるかが問われています。施行ガイドラインでも、日頃から講ずべき措置、被害が疑われる場合の対応、研修、情報管理などが示されています。


今やること一覧

今やること時期担当者内容
GビズIDを取得し、一括登録の準備を進める2026年4月法人代表者・本部担当者制度対応に必要なGビズIDを取得し、所轄庁を通じた一括登録に備えて、事業者情報・連絡先・担当者情報を整理します。
確認対象者を整理する2026年4月〜5月管理者・人事担当者どの職種・立場の従事者が確認対象になるかを洗い出します。
就業規則・服務規律を見直す2026年4月〜6月経営者・人事担当者・顧問専門家制度対応に必要なルール、服務規律、採用関係書類の見直しを始めます。
職員への周知を始める2026年4月〜6月管理者・現場責任者制度の目的、今後の流れ、事業者としての方針を共有します。
相談窓口と報告ルールを整える2026年5月〜7月管理者・本部担当者相談先、報告先、緊急時の判断者、記録方法を決めます。
研修を計画・実施する2026年夏ごろまで経営者・管理者・研修担当者制度の基本、現場対応、記録・報告方法を職員へ周知します。
情報管理体制を整える2026年秋まで経営者・情報管理責任者閲覧権限、保存方法、廃棄方法、漏えい時対応を整理します。
権限設定と最終確認を行う2026年11月〜12月上旬経営者・本部担当者誰が申請し、誰が確認し、誰が最終判断するかを明確にします。

義務対象事業者については、こども家庭庁が2026年4月から7月の指定期間中に事前登録を求めているため、表の1行目にあるGビズID取得と一括登録準備は、最優先で考えるべき項目です。


2026年4月にまずやること

1 GビズIDの取得と一括登録の準備

義務対象事業者は、法に基づく手続を専用システムで行う前提となっており、その初期登録にGビズIDが必要です。こども家庭庁は、義務対象事業者に対し、2026年4月末頃までに確実にGビズIDを取得することを案内しています。

さらに重要なのは、その先です。
義務対象事業者については、所轄庁を通じて事業者情報を取りまとめ、システムへの一括登録と各事業者アカウントの発行を行う予定とされています。つまり、GビズIDを取るだけでは不十分で、次のような情報も整理しておく必要があります。

  • 誰がGビズIDを管理するのか
  • 法人本部と施設・事業所の役割分担をどうするのか
  • 所轄庁へ出す事業者情報をどう整理するのか
  • 連絡先メールアドレスや担当者情報を誰が管理するのか

事業者によっては、法人本部と現場の連携が必要になるため、4月のうちに管理体制を決めておくと後がスムーズです。


2 確認対象となる従事者の整理

制度対応の出発点は、誰が確認対象になるのかを整理することです。
こども家庭庁の説明資料でも、教員、保育士、児童指導員など、こどもに接する従事者について確認が必要になる前提が示されています。

実務では、肩書きだけでなく、実際の業務内容に沿って整理する必要があります。
そのため、まずは職種一覧を作り、次の3区分で洗い出すと実務に落とし込みやすくなります。

  • 明らかに対象となる職種
  • 一律には判断しにくく、業務実態に応じて検討が必要な職種
  • 原則として対象外と考えられる職種

ここを曖昧にしたまま進めると、採用、配置、説明、将来の確認手続のすべてで混乱が生じやすくなります。


3 就業規則・服務規律・採用関係書類の見直し

制度対応は、現場で注意喚起するだけでは足りません。
就業規則、服務規程、採用時の説明文書、誓約書、報告義務、懲戒との関係などを、組織のルールとして整理する必要があります。

こども家庭庁の説明資料では、施行に向けて今から着手すべきこととして、就業規則等への反映や、今後の採用選考で求職者に性犯罪前科がないか書面で確認しておくことなどが挙げられています。

確認したい主な項目は次のとおりです。

  • 就業規則本体で触れるか
  • 服務規程で整理するか
  • ハラスメント規程との関係をどうするか
  • 採用時の説明文書に何を入れるか
  • 誓約書や同意書をどう設計するか
  • 懲戒との関係をどう整理するか

春から夏にかけて見直しを始めるのが現実的です。


4 職員への周知を始める

制度の詳細が全部固まってから説明しようとすると、現場では「急に始まる制度」と受け止められやすくなります。
そのため、4月の段階では、少なくとも次の3点は共有しておきたいところです。

  • 自分たちの事業が義務対象であること
  • 年内に対象者整理やルール整備を進めること
  • 目的はこどもの安全確保であること

職員への説明で大切なのは、
「疑っているから行う」のではなく、こどもの安全を守るために必要な仕組みを整える」
という位置付けを明確にすることです。


2026年5月〜夏ごろまでに進めたいこと

5 不適切行為の線引きを明確にする

この制度で誤解されやすいのは、「前科確認が中心」と受け止められがちな点です。
しかし、制度の実務では、日常の防止措置が極めて重要です。こども家庭庁の概要資料でも、日頃から講ずべき措置として、性暴力防止のための取組全体が示されています。

たとえば、各事業者では次のような場面を具体的に整理しておく必要があります。

  • 1対1対応
  • 密室・閉鎖空間での対応
  • 更衣、排せつ、身体介助の場面
  • 私的連絡手段の利用
  • 写真・動画の取扱い
  • 不必要な身体接触
  • 業務時間外の接触や連絡

抽象的な注意喚起では不十分です。
「避けるべき行為」「複数対応を原則にする場面」まで、現場で使える形に落とし込むことが必要です。


6 相談窓口と報告ルールを整える

相談や通報があった際に、最初の動きが曖昧だと現場が混乱します。
少なくとも、次の点は事前に決めておきたいところです。

  • 事業所内の相談窓口は誰か
  • 外部相談先との接続をどうするか
  • 職員からの報告先は誰か
  • 緊急時の最終判断者は誰か
  • どの様式で記録を残すか
  • 関係機関への連絡基準をどうするか

制度は、平時の予防だけでなく、問題が起きたときの初動も含めて設計する必要があります。


7 保護者・利用者への説明準備

義務対象事業者では、保護者や利用者への説明も重要です。
何も伝えなければ不安を招きますし、伝え方を誤れば必要以上の混乱につながります。

そのため、次のような点を整理しておくと実務で使いやすくなります。

  • 重要事項説明書に反映するか
  • 保護者向け案内文を用意するか
  • 説明会やおたよりで周知するか
  • 相談窓口をどう案内するか
  • 苦情対応体制とどうつなげるか

大切なのは、制度の難しい法解釈を並べることではなく、
「こどもの安全のために、事業者として何を整えているか」
を分かりやすく伝えることです。


8 研修を計画し、実施する

施行ガイドラインでは、研修が安全確保措置の一つとして位置付けられています。

研修に入れておきたい内容は、たとえば次のとおりです。

  • 制度の基本
  • 対象となる行為・ならない行為
  • こどもとの適切な距離感
  • 1対1対応や密室対応の考え方
  • 相談を受けたときの初動
  • 記録と報告の方法
  • 情報管理上の注意点

単発で終わらせず、
初回周知 → 実務研修 → 振り返り
という流れで進めると、現場に定着しやすくなります。


2026年秋までに固めたいこと

9 採用時の運用に組み込む

制度対応は既存職員だけの話ではありません。
こども家庭庁の説明資料では、施行後の確認手続の流れとして、事業者からの申請、本人による戸籍情報の提出、こども家庭庁からの回答という流れが示されています。

そのため、採用実務では次の点を整理しておく必要があります。

  • 求人票や募集要項への記載
  • 面接時の説明内容
  • 内定時の案内文書
  • 必要書類の案内方法
  • 配置判断との接続

採用の段階から透明性を持って運用することが重要です。


10 情報管理規程と情報管理体制の整備

前科情報や本人確認情報は、極めて機微性の高い情報です。
施行ガイドラインでも、戸籍関係書類は原則として本人が提出する仕組みとされ、プライバシー保護が重視されています。

事業者としては、少なくとも次の点を決めておきたいところです。

  • 情報管理責任者は誰か
  • 誰が閲覧できるか
  • 紙で扱うか、電子で扱うか
  • 保存期間と廃棄方法
  • 漏えい時の対応フロー
  • 法人本部と現場の役割分担

小規模事業者であっても、この部分を簡略化しすぎるのは危険です。


11 所轄庁・国への確認に対応できる状態にする

義務対象事業者は、所轄庁を通じた登録や、その後の制度運用に対応できる状態にしておく必要があります。
こども家庭庁は、所轄庁を通じて事業者情報をとりまとめ、システムへの一括登録を進める予定としています。

秋ごろまでには、少なくとも次の点を説明できる状態にしておきたいところです。

  • 確認対象者の整理状況
  • 規程類の整備状況
  • 相談窓口の設置状況
  • 研修の実施状況
  • 情報管理体制
  • 本部と現場の役割分担

2026年11月〜12月上旬に確認したいこと

12 権限設定と最終確認

制度開始直前には、誰が確認情報に触れるのか、誰が申請するのか、誰が判断するのかを曖昧にしないことが重要です。

また、こども家庭庁の説明資料では、義務対象事業者について、12月25日以降に内定・内示が出された従事者は、従事開始までに犯罪事実確認が必要であり、12月24日以前に内定・内示が出された従事者は現職者扱いとなり、施行から3年以内に確認することが必要とされています。

そのため、事業者内では少なくとも、

  • 閲覧権限を持つ者
  • 実務担当者
  • 最終判断者

を分けて考える視点が必要です。


2026年12月25日までに目指したい状態

施行日までに、義務対象事業者として、少なくとも次の状態を目指したいところです。

  • GビズID取得済み
  • 一括登録に必要な事業者情報の整理済み
  • 確認対象者の整理済み
  • 職員への周知開始済み
  • 就業規則・服務規律・採用書類の見直し着手済み
  • 相談窓口と報告ルールの整備済み
  • 研修実施済み
  • 保護者等への説明準備済み
  • 情報管理規程と体制整備済み
  • システム利用・権限設定の準備済み

よくある誤解

「施行日まで何もしなくてよい」は誤りです

義務対象事業者については、こども家庭庁が2026年4月末頃までのGビズID取得や、4月から7月の指定期間中の事前登録を案内しています。施行日直前に一気に対応する前提ではありません。

「GビズIDだけ取ればよい」も誤りです

義務対象事業者では、GビズID取得の後、所轄庁を通じた一括登録に備えて事業者情報を整理する必要があります。GビズIDは入口であり、それだけで準備が完了するわけではありません。

「前科確認だけやればよい」も誤りです

制度では、性犯罪前科の確認だけでなく、相談体制、研修、情報管理、服務規律の整備など、こどもへの性暴力を防ぐための取組全体が求められています。

「正社員だけが対象」とは限りません

対象となるのは、こどもに接する現場で対象業務に従事する者です。職種名や雇用形態だけで判断せず、業務実態で整理する必要があります。


まとめ

義務対象事業者は2026年4月から動き出す必要があります

こども性暴力防止法への対応は、単なる事務手続ではありません。
義務対象事業者に求められているのは、こどもの安全を守るための組織的な体制整備です。施行日は2026年12月25日ですが、準備は2026年4月から始める前提で進める必要があります。

特に経営者・管理者としては、次の視点が重要です。

  • うちでは誰が確認対象になるのか
  • GビズID取得と一括登録にどう備えるのか
  • 不適切行為の線引きをどうするのか
  • 職員と保護者にどう説明するのか
  • 相談や通報への初動をどう整えるのか
  • 機微情報をどう管理するのか

制度対応を後回しにせず、春から順番に整えていくことが重要です。


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こども性暴力防止法への対応では、

  • 誰が確認対象になるのか
  • 規程をどこまで見直すのか
  • 一括登録に向けて何を整理するのか
  • 相談体制をどう整えるのか
  • 情報管理をどう設計するのか

といった、事業者ごとの実務判断が必要になります。

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